腸内細菌と肥満の関係性

もしかしたら、あなたの肥満は腸内細菌叢に問題があるのかもしれません。

腸内細菌叢は炎症性腸疾患、アレルギー、皮膚疾患、脳・神経系疾患など様々な疾患に大きな影響を及ぼすことが分かってきました。また、肥満との関係も注目されています。

2013年、米国セントルイスにあるワシントン大学のジェフリー・ゴードン博士らのチームが「腸内細菌叢が肥満に影響する」という研究を米国の世界的科学雑誌サイエンス(Science)に報告しました。研究チームは腸内細菌叢と肥満に直接関係があるかどうか評価する目的で、一方は肥満、片方は痩せている双子を募集しました。双子は食生活や遺伝子が似ているため、それらの影響を除くことができます。したがって、肥満の原因が腸内細菌叢である可能性を絞り込みやすいからです。

最終的に女性の一卵性双生児4組が選ばれました。そして、参加者たちの腸内細菌を集めて無菌マウスの腸に移植し、標準的なエサ(同内容・同量)と同じ運動で育てました。その結果、肥満の人から腸内細菌を移植されたマウスは、痩せた人の腸からの細菌を与えられたマウスより体重がより増加し、より多くの脂肪が蓄積(約20%)しました。エサと運動の条件が同じであるということは、この相違が体内に入ってきた栄養素の代謝を変化させる何かがあるということです。

すなわち、「腸内細菌」によって引き起こされている可能性が高いことを意味します。

当院の治療

腸内フローラ検査

便を調べることで、患者さん一人一人腸内細菌叢を確認することがき、その結果を元にその患者さんの腸内環境を整える為に必要な菌を見つけることができます。

乳酸菌セラピー

血液マッチング検査を行いその人の体質に合った乳酸菌を処方し、6ヶ月服用して頂きます。

上部下部内視鏡での菌移植

胃を通して小腸に細菌を移植する上部内視鏡での移植と、肛門から大腸に細菌を移植する下部内視鏡での移植があります。

腸内移植とは

私たちの腸内には、善玉菌(ビフィズス菌、乳酸菌群など)、悪玉菌(クロストリジウム、大腸菌、連鎖球菌など)、日和見菌(バクテロイデス、プレボテラなど)といった、細かく分類すると3万種類程度の菌が生息しているといわれています。こうした菌を顕微鏡で観察した時に、まるでお花畑(フローラ)のように見えることから、「腸内フローラ(細菌叢)」と呼ばれています。

腸内フローラのバランスが整っていると、お体や心の健康が保たれる一方、バランスが崩れてしまうと、便秘や下痢などの腸の不調が起こるだけでなく、アレルギー性疾患、肥満、うつ症状など、一見、腸とは関係がなさそうに思える症状も現れることがあります。このような不調・症状・疾患を改善するための方法として、「腸内細菌移植」という治療が注目されています。これは、バランスが崩れた腸内フローラを整えるために、腸内細菌を患者様の腸へ直接注入する方法です。

腸内細菌移植により、腸内フローラのバランスを整えることで、便秘・下痢の解消、肥満予防・改善、免疫機能の向上、抗アレルギー作用、エイジングケア、動脈硬化の予防、がんの予防・治療など、幅広い効果を得ることができるようになります。

腸内細菌移植の効果

便秘、下痢の解消、 肥満予防、免疫機能の向上、抗アレルギー作用、エイジングケア、動脈硬化の予防、がんの予防・治療、糖尿病の予防、改善、うつ症状の軽減 など

腸内細菌移植の主な適応疾患

潰瘍性大腸炎 クローン病、過敏性腸症候群、感染性腸炎、アトピー性皮膚炎、自己免疫疾患、糖尿病、メタボリックシンドローム、小腸内細菌異常増殖症(SIBO)、うつ症状・自閉症 など