ポストコロナ症候群/コロナ後遺症とは?
新型コロナウイルスに感染した場合、大半の患者は12週間以内に症状が改善します。12週間が経過しても症状が改善されない場合「コロナ後遺症」を意味する『ポストコロナ症候群』の疑いがあります。
コロナ後遺症の主な症状
後遺症にはコロナ症状と同じようなものから、関節痛、抜け毛、記憶障害、心理的な影響(不眠症等)、心臓や腎臓の炎症・損傷など全身に影響が見られます。後遺症から呼吸不全や心不全・不整脈、脳梗塞や肺塞栓症、川崎病に類似した症状が発生するケースなどの合併症も確認されています。
コロナの感染から、何らかの症状が長期におよんだデータ
(2021年3月25日までの集計)
※国立感染症センターによる新型コロナ感染後の63人に対する調査
脱毛に関しては新型コロナ感染から平均58.6日で脱毛症が発症した事例があり、原因は未解明です。
後遺症の原因は、複合的であるため見極めが必要です。
血栓ができたことに対する後遺症や、嗅覚・ 味覚障害など神経にダメージが起こったことで 障害が残ることがあることが考えられます。
働けないことに対する心的ストレスや、感染したことによる社会的孤立感が原因となると考えられます。
一度陰性となった方が再び陽性となることがあり、一部の方には持続感染という現象が起きている可能性さえ考えられます。
ポストコロナ症候群・コロナ後遺症の治療法
様々な原因があり複合的なため、治療には分子生物学の専門知識と併せて心療内科などの幅広い知識が必要です。
※エビデンスのある漢方薬:ピクノジェノール、臍帯幹細胞培養液エクソソーム治療など
ポストコロナ症候群・コロナ後遺症のケアの充実
現在は、急性期のコロナ対策が中心となっていますが、今後多くのコロナ後遺症を持った患者さんが増加することが見込まれます。
コロナ後遺症の診察・治療には、新型コロナの徹底的な感染予防やreal time RT-PCRなどの分子生物学的知見、心療内科や神経内科などの幅広い見識が必要になります。
最も頻度の高い後遺症は慢性疲労症候群、線維筋痛症、認知機能の低下です。
これらに対しての検査・アプローチは高輪クリニックグループが十年以上の歴史をもって治療を手がけ高い改善率をだしています。
世界からの報告
●イギリス-記憶力低下、線維筋痛症、咳、息切れ、頭痛、倦怠感、吐き気、意識障害、聴覚障害、老化など
●イタリア-認知症、倦怠感、胸痛、肺機能障害、味覚・嗅覚・聴覚障害、めまい、関節痛、脱毛、老化など
●アメリカ-慢性疲労、線維筋痛症、認知機能低下、老化、急性腎障害など
●ドイツ-慢性疲労、認知症、老化、関節痛、心臓病のリスクが高まるなど
●中国-線維筋痛症、慢性疲労、認知症、肺拡散容量の低下、呼吸筋力の低下、肺画像異常など
●韓国-慢性疲労、胸痛、腹痛、ブレインフォグ現象(記憶と集中が困難になる)、肌の変色など
長く苦しむ新型コロナ後遺症、これまでにわかっていることvol.1
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、単なる短期的な病気ではありません。患者を衰弱させる身体症状や精神症状が、感染の数カ月後まで、場合によっては数年後まで続く可能性があります。以下では、新型コロナウイルス感染症の後遺症について、これまでにわかっていることをまとめたものです。
初期調査の大多数は入院患者だけを対象としており、現在でもまだ明確な診断基準は定まっていませんが、複数の研究から、新型コロナウイルス感染症の患者のおよそ30%程度は症状が中々消えず、長く後遺症に苦しむことが示唆されています。
患者が訴える症状は幅広くあり、最初の感染から消えるまでに数カ月かかることもあります。症状の例としては、疲労感、継続的な呼吸器系の問題、嗅覚と味覚の喪失、ブレインフォグ(頭がぼうっとする状態)、記憶障害、頭痛、筋肉痛、うつ状態、線維筋痛症(強い筋肉痛、関節痛)などが挙げられています。
後遺症のリスクが最も高いのは、どのような人なのでしょうか?感染時の重症度とは関係がないことが分かっています。そしてリスクは男性、肥満、歯槽膿漏とう三大要因であることがわかっています。
新型コロナ後遺症の病態に最も近い病気は、おそらく慢性疲労症候群(筋痛性脳脊髄炎とも呼ばれる)だろうといわれています。慢性疲労症候群は数十年にわたって続く場合もあります。
慢性疲労症候群と同様に、新型コロナ後遺症に悩む人に対しては有効な薬物療法は存在していません。
新型コロナ後遺症については、その原因をはじめ、わかっていないことが多くあります。疫学者でロンドン大学クイーンメアリー校の上級講師を務めるディープティ・グルダサニ博士は、フォーブスにそう話しています。感染後に残っているウイルスの影響や炎症の影響が続いているとも考えられるし、体が自己免疫反応を起こしている可能性もあるとディープティ・グルダサニ博士は説明しています。生物学的に言えば、新型コロナ後遺症は複数の障害の集合体である可能性もあるといわれています。、
長く苦しむ新型コロナ後遺症、これまでにわかっていることvol.2
呼吸器だけではなく、影響は全身に!!
新型コロナウイルス感染症は当初、呼吸器疾患と理解されていましたが、現在では、全身に影響を及ぼすことがわかっています。「影響を免れる臓器はない。組織に侵入し、脳でも発見されている。初めて感染してからずっと後になっても腸内に残っていることが確認されている」とディープティ・グルダサニ博士は述べています。
3370万人。この数字は、ジョンズ・ホプキンス大学のデータにもとづく、米国でこれまでに新型コロナウイルス感染症に感染した人の数です。ここからこの感染症による死者数を引き、10%という控えめな推計値を使って後遺症が残る人の数を計算すると、心身を衰弱させるしつこい症状に苦しんでいる人は330万人にのぼる可能性があります。多く見積もるとコロナ後遺症に苦しむ方の割合は感染者の30%以上とも試算されています。
コロナの後遺症がでやすいか否かと、そのリスク回避について
新型コロナに感染して検査をするのは唾液または鼻咽頭が対象です。
血液には感染してもウイルスがでてこないことが多く通常血液検査をしません。しかし『コロナの後遺症がでやすいか否か』は感染時の血液中のウイルス検査で陽性陰性との相関があることがわかりました。
今後、新型コロナ感染の確定診断がでた方には、血液検査を実行して後遺症のリスクを知ることが重要であることがわかりました。血液中ウイルス陽性で後遺症のリスクが高い場合、阻止するための薬物投与を検討すべきと考えられる結果がでました。
通常のウイルス感染症では血液脳関門を破壊したり貫通できないために脳に影響を残すことはあまりありません。しかし新型コロナウイルスは血管内皮細胞をすり抜け、その下にある基底膜を破壊し脳実質にマイナスの影響を与えます。血液脳関門を解剖学的に破壊することなく緻密に脳に入り込み大きなダメージを高確率に残してしまうのです。
当院でのコロナ後遺症の方のケア
①コロナ後遺症リスク回避
コロナに感染した際に後遺症を残すリスクが高い方はAGA型男性・肥満・歯槽膿漏の方です。
AGAの方には発毛治療、BMI30以上の肥満の方にはダイエット、そして歯槽膿漏の改善です。
1.AGA改善:副作用のほぼない発毛治療(ドッズ13)内服
2.肥満:痩身用乳酸菌処方で対応
3.歯槽膿漏:歯科医院での定期メンテナンス治療と日常の口腔ケア
②コロナ後遺症検査
1.脳内で神経組織にダメージを与えるアミロイドB42とtauの血中濃度計測
2.生化学検査 (サイトカインIL-6・LDH・CRP等計測 – 新型コロナ関連マーカーの計測)
3.精密抗体検査(再感染リスクの厳密な予見)
4.長谷川式スケール(認知機能検査)
5.呼吸機能検査(ピークフローなど)
③コロナ後遺症治療法
1.漢方薬
中国では世界に先駆けてコロナ後遺症に対しての治療ガイドラインを発表しています。(2020年8月)
2.ピクノジェノール+プランタラム菌+ビタミンD(サプリメント)
ピクノジェノールはコロナ後遺症の中でも慢性疲労・線維筋痛症・認知機能低下に対しての有効性が認められています。これに新型コロナ予防効果が明確にされたプランタラム菌とビタミンDを追加したサプリメントが有効です。
3.カモスタット+プランタラム菌+ビタミンD
病状がひどい方には上記の②と併用します。
4.エクソソーム治療
経鼻で吸収するエクソソームのmiRNAが脳内に移行します。コロナ後遺症の原因は視床下部室傍核でエクソソームがここに機能をすることでバラエティーに富むコロナ後遺症症状に有効性を発揮する可能性があります。またエクソソームが海馬に働くことで認知機能の改善につながることもわかっています。
*エクソソーム治療は高輪クリニックグループでは臍帯のウォートンジェリー中の幹細胞エクソソームを3年前から利用し、線維筋痛症と慢性疲労症候群の治療を実施してきました。この治療法がコロナ後遺症に高い有効性を発揮するものと期待が高まっています。